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コラム column

2020年10月30日

第14回骨董通りリンク報告

「今、芸術文化のためにできること―コロナ禍の芸術文化・アーティスト支援」

骨董通りリンク事務局 

骨董通り法律事務所では、中堅・若手を中心とする実務家・研究者による勉強会、「骨董通りリンク」を開催しています。今回は、その一端をご紹介します。
2020年9月某日、第14回骨董通りリンクを開催しました。テーマは「今、芸術文化のためにできること―コロナ禍の芸術文化・アーティスト支援」。Zoomを利用した初のオンライン開催でしたが、これまでと同様に盛況でした。

一人目の登壇者は藤森純弁護士(東京スプラウト法律事務所代表、Arts and Law共同代表理事)。ご自身も活動に加わるライブハウス、クラブその他の文化施設等の支援活動「#SaveOurSpace」についての報告でした。
2020年3月の終わりに発足したこの活動。過去に風営法改正のロビー活動に携わってきた経緯から参加されたとのこと。賛同人に加山雄三氏、坂本龍一氏など数々の著名人を加え、「国内ネット署名最速」という盛り上がりを見せ、瞬く間に30万筆以上を集めた署名活動は記憶に新しい。当時の菅義偉内閣官房長官に要望書を提出し、その後も、国会議員や関係省庁との意見交換を行うなど、ロビー活動を積極的に行っていきました。複数回の記者会見を行い、インターネット上に記録するなど、発信した「声」の可視化も重視したようです。
今も閉店する店舗が相次ぐ中、「今はただできることをやっていく」との力強いご発言が印象的でした。

二人目は福井健策弁護士(骨董通り法律事務所代表、緊急事態舞台芸術ネットワーク世話人)。「緊急事態舞台芸術ネットワーク」に関連して、J-LODlive補助金文化庁継続支援金について詳しくご報告頂きました。
当初行ったイベント16団体からのヒアリングでは、コロナ禍に伴うイベント中止による純損失は「160億円以上」と言葉を失うもの。舞台芸術業界の危機的状況を改善すべく、緊急的にネットワークを形成し、国内の主要な劇団・制作会社など200以上の団体が加盟しています。事務所の寺内・田島弁護士と補助金制度の創設や改善等に尽力するとともに、啓蒙活動として情報発信、電話相談センターの設置なども手掛けてきました。劇作家の野田秀樹さんからの「この危機を何とかしたい」というご相談が発端であったものの、当時は、ここまでの大事業とは全くの予想外であったようです。
また、デジタル配信について権利対価が発生する構想を提案し、文化庁支援事業として採択されたデジタルアーカイブ事業のお話もありました。既存のプラットフォームを利用しつつ、舞台芸術の現場に利益を還元し、教育利用も目指していく方針とのことです。

最後は作田知樹行政書士(行政書士作田事務所代表、Arts and Lawファウンダー)による、「文化芸術創造都市横浜・臨時相談センター Yokohama Emergency Support “YES!”」の活動報告。
Arts and Lawを設立し、無料相談を行なってきた経験を踏まえ、横浜市芸術文化振興財団とともに、アーティスト、クリエイター、イベント関係者等を主な対象とする臨時相談センター「Yokohama Emergency Support “YES!”」を立ち上げました。横浜市芸術文化振興財団が運営するアーツコミッション・ヨコハマ(ACY)からの依頼が契機です。横浜市のコロナ対応の補正予算も付き、地元の起業家支援団体に窓口受付業務を委託しつつ、税理士、弁護士、社労士、行政書士などの専門家によるオンライン無料相談窓口の開設となりました。
公的な芸術支援機関が専門家による相談対応を全面に押し出すのは全国でもほとんど例がなく、試行錯誤しながらの制度設計及び運営のようですが、相談者からは概ね高評価を得ています。

3名とも、各活動への協力者を募り、報告を終えました。3名とも、「走りながら考える」スタンスが共通でした。
最後に藤森弁護士は、配信ではなく「どう“生”でやるか」を課題に挙げ、「緊急事態宣言の間、在宅勤務でも文化芸術に触れることでストレスを発散してきたと思います。テレビを見たり、音楽を聴いたり、映画を見たり。その文化芸術への支援が必要な状況にある」と想いを語りました。作田行政書士は、外出にまだ不安感を有する文化芸術に触れられない層の存在について問題提起しました。福井弁護士は、作田氏の発言を受け、劇場に集う価値、そこで味わう作品の素晴らしさに触れ、「早くまたこの会場に集まって、密な勉強会をやりましょう!」と締めくくりました。

次回の骨董通りリンクの活動報告もお楽しみに!

以上

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