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2019年3月29日

バラエティ

☆記念企画「事務所メンバーがお勧めするジャンル別ベスト15」第8回

「ニッポンの『新しい商標』15選」

弁護士 中川隆太郎(骨董通り法律事務所 for the Arts)

ニュースで話題になったものからそうでもないものまで、個人的にこの1年ほどの間に気になった国内の「新しい商標」(立体商標、色彩の商標、位置商標、音の商標など、クラシカルな商標ではないもの)を15件ご紹介します。それではどうぞ。

15位 ひよ子饅頭

商願2015-74723

ひよ子饅頭といえば、福岡銘菓か東京銘菓かという論争(福岡生まれの私に言わせれば福岡銘菓に決まっていますが)のほかに、知財の分野では立体商標に関する裁判例(知財高裁平成18年11月29日判決。識別力を否定)で有名です。が、最近とあるきっかけで気づいたのは、ひよ子の形状が再び立体商標として出願され、現在拒絶査定不服審判の真っ最中であること。戦いはまだ続いていました。

14位 LEGOブロック

登録第6072708号

LEGOブロックのデザインも立体商標として登録されています。が、とりわけ重要な、指定商品に「おもちゃ」を含む28類については、審査中に分割出願したようで登録内容には含まれていません。残念ながらおそらく、CJEUの判決でも問題となった、商品の機能的な形態との関係が問題となったのではないかと思います。

13位 「色彩のみ」の商標(三井住友フィナンシャルグループ、ファミリーマート)

左から登録第6021307号(第6021308号も同様)、第6085064号

平成26年改正で大きく話題となった色彩のみの商標の解禁。初の登録例はセブンイレブンとMONOの消しゴムでしたが(2017年3月)、2018年は上記の通り、3例目、4例目が出ましたね。ただ、いずれも複数の色の組み合わせで、単色での出願については、登録数はいまだゼロです。

12位 Pepperのデザイン

登録第6047746号、第6081795号

Pepperのデザインも立体商標として登録されています。「商品」として販売されるロボットとしてだけではなく、小売その他の役務も指定役務として登録されているのは興味深いところです。なお、J-Plat Patを検索した限り、(画面デザインの意匠はありますが)このデザイン自体の意匠登録は見当たらないようです。なお、Pepperの肖像権については、二関弁護士のコラムもご参照ください。

11位 日清カップヌードルの容器デザイン

登録第6034112号

話題となった位置商標。このデザインだけで「識別力あり」と立証するため、セブンイレブン等と同様、専門家により適切に設計されたアンケートを実施したようです。

10位 ニコンの位置商標

登録第6118238号

ニコン派はニヤリとする、デジタル一眼レフのグリップ上部の赤いデザイン。拒絶査定不服審判を経て、登録にたどり着いています。

9位 キリン氷結の缶のデザイン

登録第6127292号

形式的には他の立体商標同様、形状の登録ですが、実質的には触った・持ったときの感触を保護している側面もあるようにも思います。そういった意味で、比較的珍しい商標といえそうです。

8位 Zippoの音の商標とデザイン

これだけ国内商標ではないのでやや番外編ですが、2018年12月5日、Zippoは「ライター使用時の音を米国で商標登録することに成功した」とアナウンスしました。具体的には「耐風性のライターの蓋を開け、点火し、蓋を閉じる音」が、商標として登録されています(実際に登録された音はここで確認できるので、ぜひ聴いてみてください)。歌詞の方で識別力を取れる歌詞付き商標と異なり、「音のみ」の商標の登録は、日本でもハードルが高い状況です。

なお、Zippoはライターのデザインについても、立体商標を登録しています(これは国内商標)。

登録第6127292号

7位 パネライのリューズカバーのデザイン

登録第6080187号

7位はパネライのリューズカバーのデザインです。おそらく、ロゴの商標は使わずにデザインのみ「パクる」模倣品への対抗手段として取得されたものだろうと想像します。ブランドのアイコンとなるデザインですね。

6位 ルイス・ポールセンの照明デザイン

登録第5825191号

ルイス・ポールセンの名作「PH5」のデザインは、立体商標として登録されており、東京地裁平成30年12月27日判決では、いわゆるジェネリック家具であるリプリダクト業者に対する販売等の差止・損害賠償請求が認められています(立体商標の侵害事件はおそらく2例目。)なおこのリプロダクト業者がルイス・ポールセンの照明デザインのイラスト画を用いて登録した商標の無効が争われた裁判では、ルイス・ポールセン側の2つのデザイン(PH5とPH Snowball)の周知性の高さの違いを背景として、商標法4条1項19号該当性の判断が割れています(知財高裁平成30年7月25日判決

判決①で無効事由ありとされた商標(左)と、判決②で無効事由ありとされなかった商標(右)

5位 食パン袋をとめるアレ

登録第5858733号

「実は川口市の名産品だった」とネットで話題にもなった、食パンの袋を留めるアレ、名称は「バッグ・クロージャー」というそうですが、立体商標も登録されています。指定商品は「パン製品の袋やパン製品の包装をとじるためのプラスチック製クリップ」などとされています。

4位 モンクレールのワッペンの位置商標

左:登録第5995041号、右:登録第5995042号

さらにすごいのがモンクレールの位置商標です。モンクレールのダウンジャケット等の左胸や左腕には、下記の写真のようなワッペンが付されていることはご存じの方も多いと思います。それに対しこれらの2つの位置商標は、そのワッペンの外縁のデザインのみで位置商標を取っています。立証は大変だっただろうと想像しますが、これにより、従来のワッペンのデザインロゴ商標のみの場合と比べて「ワッペンの外形は同じで、中だけデザインを少し変えた模倣品」についても、商標権侵害に該当する可能性が高くなったように思います。

モンクレール Webサイトより

3位 きのこの山

登録第6031305号

たけのこ派として、この特別待遇は許せない、というただただそれだけの理由で3位(なお、その後たけのこの里のデザインも商標出願された模様。真打ち登場です)。

2位 蔦屋書店の建築デザイン

左:登録第5916693号、右:登録第6014007号

建築関係で興味深いトライを重ねているのが、蔦屋書店のこの2つの商標です。立体商標も、ファサードの地模様商標も、本来はセカンダリーミーニングが必要となりそうな商標ですが(それゆえ、登録のハードルは高いことが多い)、いずれも本来的識別力ありとの判断で登録を勝ち取っているようです(ファサードについては、拒絶査定不服審判を経ての登録)。

1位 ルブタンの赤い靴底

商願2015-29921

「ファッションローといえば」というほど広く語られ、話題となっているこの赤い靴底の商標。特に米国でのイヴ・サンローランとの訴訟や、先日のCJEU判決は有名ですね。ルブタンは世界中で赤い靴底の商標登録による独占にトライしており、EUや米国では登録を勝ち取り、インドでは敗北、日本では今なお審査中という状況です。なお、「色の商標」として紹介されることがありますが、いわゆる「色彩のみの商標」ではなく、位置商標です(その色が単色である、というもの)。

以上

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