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コラム column

2023年5月30日

憲法改正

第17回 骨董通りリンク報告 「政策提言/ロビイング」

骨董通りリンク事務局 

骨董通り法律事務所では、中堅・若手を中心とする実務家・研究者による勉強会、「骨董通りリンク」を開催しています。2023年4月に行われた第17回のテーマは、「政策提言/ロビイング」でした。コロナ禍以降はオンラインのみでの開催でしたが、今回はリアル会場とオンラインのハイブリッド開催となりました。
本コラムでは、その一端をご紹介します。

今回はご登壇者として、明智カイト様、及び、小山紘一弁護士をお招きしました。
明智さんは、NPO法人市民アドボカシー連盟の代表理事として市民セクターのロビイングへの参加促進、ロビイストの認知拡大と地位向上、アドボカシーの体系化を目指して活動されています。著書に『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)等があります。
小山弁護士は骨董通り事務所メンバーでもあり、2013年から松田公太参議院議員の政策担当秘書、2016年からは山口和之参議院議員の公設第一秘書を経て政策担当秘書、2019年から現在まで山田太郎参議院議員の政策担当秘書を務めています。弁護士としても「ファスト映画アップローダーに対する損害賠償請求訴訟の勝訴判決」でAMDアワード優秀賞を受賞しています。

明智さんには、「アドボカシー」や「ロビイング」といった用語の解説、アドボカシーの必要性、世論を喚起し政策を動かすまでの手順、ロビイストに求められる資質などの基礎的なお話から、アポ取り・面談・根回しの順番など具体的な国会議員へのロビイング方法、アドボカシーでの「世論喚起」のコツ(概念をつくること、データをとること、議連をつくること、メディアをもつこと)といった実践的・技術的なお話まで、豊富な活動事例を基にご説明いただきました。
冒頭では、「政策を実現したいのであれば、政治家ではなくロビイストを目指せ」という印象的な言葉がありましたが、非常に納得感がありました。またロビイストに求められる10の資質の中で、特に「忍耐(怒りの感情のコントロール)」を強調されるなど、草の根ロビイストとして実際に活動され、また多くのロビイストを近くで見続けてきた明智さんならではのお話を多数お聞きできました。

小山弁護士からは、「政策提言・ロビイングとは、ルールメイキングに参加すること」との定義づけがなされ、また、3つの重要ポイントとして、①タイミング、②働きかけるべき相手の選定、③文章化(与党から出される提言書の中に自分が実現したい政策が盛り込まれることの重要性など)が示されました。
国会のスケジュール、背後にある政府と与党の動き(「骨太方針」や「概算要求基準」の決定時期、「概算要求」の提出・査定・財務省との交渉時期など)、内閣提出法律案(閣法)の流れ(原案作成、審査、閣議決定)などについて、自民党政権下での慣習・慣例(与党審査の流れや各会の性質・決議方法など)を多分に盛り込んだ解説がありました。また、これらを踏まえたタイミングの重要性、昨今のデジタル庁やこども家庭庁に関する具体的なルールメイキングなどの事例に基づく上記の重要ポイント3点の深掘りなど、現役かつ長年にわたって政策担当秘書を務めてきた小山弁護士ならではのお話でした。

その後、司会の福井健策弁護士及び参加者の皆様から、お二人に様々な視点で質問が投げかけられ、法の専門家がロビイングの中で果たす役割、その重要性なども含め、様々なディスカッションが行われました。法律家・研究者・企業法務にとっても新たなフロンティアといえる、「政策提言/ロビイング」への理解を深める夜となりました。

次回の骨董通りリンクの活動報告もお楽しみに!

以上

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