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コラム column

2021年3月31日

「過去の舞台作品の大規模アーカイブ化と、デジタルシアターの夜明け
 ~EPAD(イーパッド)へのご招待~」

弁護士  福井健策・田島佑規(骨董通り法律事務所 for the Arts)

すみません。派手なタイトルをつけてしまいました。

「EPAD」とは、危機の舞台芸術界の支援をはかりつつ、遅れに遅れていた過去の舞台芸術映像や資料の収集保存と配信化を進める、「緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業」の略称です。
緊急事態舞台芸術ネットワークによる構想からはや半年、文化庁の文化芸術収益力強化事業に採択されたEPAD事業は、概ね以下のものです。

・各主催団体が保有する、過去の舞台映像約1300本を収集。そのうち、約280本につき商用配信可能とするための複雑な権利処理を完了。
・上記舞台の主催団体・関係者に収集対価・権利対価を還元。
・戯曲550本、舞台美術2500点もデジタル化・公開。スタッフ技術のeラーニング動画制作。関係者に対価還元。

簡単に書いていますが、これを数ヶ月で実現できたのはやはり画期的で、オールジャパンとも言える舞台界の皆さんの協力体制の賜物です。弊所からは福井・田島両名にて、実行委員や権利処理班として協力各団体の皆さんや事務局と汗と涙のサポートを続け、(まだ多少の調整は残っているものの)先日ついに正式オープンを迎えました。

EPADは、以下の3つの特設サイトから成ります。
どのサイトも趣向を凝らした内容ですので、以下駆け足でご紹介できればと思います。

〇EPADポータルサイト

https://syueki5.bunka.go.jp/
こちらは、全体のゲートウェイとなるEPADのメインサイトとなります。
「EPAD」「権利のこと」「よみもの」「LOVE」「えいぞう」「びじゅつ」「ぎきょく」「まなぶ」の各種ページがポップなデザインと共に用意されています。
まずは、「このサイトは?」の概要説明や、「EPAD」のタブから野田秀樹さん・吉見俊哉さん・松田誠さんなど豪華ゲストも登壇した、お披露目シンポのYouTube映像をご覧ください。全部見ると4時間ですので、ただ福井だけを見たいという方は開始30分~1時間くらいでOK。嘘です冗談です。

https://syueki5.bunka.go.jp/index.php/list_eizo/
また、こちらでは後述するJDTAに所蔵された舞台映像のめまいがするようなリストと、全編配信可能となった作品をチェックすることができます。

【各種ページの説明はこちら】 https://syueki5.bunka.go.jp/index.php/howto/
もちろん閲覧方法にルールはありません。
傑作舞台美術からスタッフ技術を継承するためのEラーニング動画まで、ぜひあなたの関心に従い、このポータルサイトを活用し尽くしてください!

〇JAPAN DIGITAL THEATRE ARCHIVES(略称:JDTA)

https://enpaku-jdta.jp/
早稲田大学演劇博物館が運営するこちらは、EPAD事業で収集した約1300本の演劇・舞踊・伝統芸能の舞台公演映像の情報を検索することができます。
古今東西、多種多様な作品群を眺めるだけで胸がわくわくしますね。
お好きなキーワードを入れて、あなた好みの公演を検索することも可能。
ほとんどの映像は事前予約の上、演劇博物館内にて閲覧可能となる予定ですので、今のうちからぜひチェックしてみてください!

〇戯曲デジタルアーカイブ

https://playtextdigitalarchive.com/
日本劇作家協会が運営するEPAD事業で収集した戯曲553本が掲載されているアーカイブサイト。
お好きな戯曲を検索し、無償ダウンロード(!)して読んで味わうことはもちろん、「上演時間」や「上演人数」をもって検索することで、上演したい戯曲の検索も可能という画期的な内容。上演したい戯曲が見つかれば、作品詳細「上演許諾について」の問い合わせフォームから連絡可能というのもありがたい。
世界のどこに出しても恥ずかしくない戯曲デジタルアーカイブサイトができたと感じています。素晴らしい戯曲の数々をぜひご覧ください。


・・・すみません。実際まだ絶賛残務中で、本当に駆け足のご紹介となりました。まずは各サイトを覗いていただき、実際に見て触っていただければ幸いです!

以上

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