All photos by courtesy of SuperHeadz INa Babylon.

English
English

コラム column

2018年5月24日

著作権ゲーム

「ゲーム業界に学ぶオープン&クローズ戦略
              ~ゲームバー閉店報道を契機として」

弁護士  橋本阿友子 (骨董通り法律事務所 for the Arts)

先月、著作権団体から警告を受け、大阪のゲームバー3店舗が閉店すると報道された。

ACCS - 一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会様よりご指摘を受けましたため、ビルとの契約期間満了となる2018年7月29日をもって当店を閉店致します。 長らくのご愛顧誠にありがとうございました。

(「ゲームバー1UP」公式ウェブサイトより引用)

上記は、2018年5月23日現在、「クロノス」が運営する「ゲームバー1UP」「ゲームバーclan」「ゲームバーカティーナ」の3店舗の公式ウェブサイトやSNS上に掲載されている閉店挨拶文である。ACCSは知的財産保護のために活動を展開している団体であり、会員には(株)カプコン、(株)スクウェア・エニックス、任天堂(株)などのゲームメーカー(ここでは便宜上、ゲームの販売元をいう)も名を連ねている。上記報道を契機に、ここでは、ゲームバーに関する問題点を紹介しつつ、ゲーム業界におけるオープン&クローズ戦略について考察したい。

1.ゲームバー閉店に至る経緯と概要

(1)ゲームバーのシステム

ゲームバーとは、テレビゲームやアナログゲームで遊べるスペースを提供する場所である。問題となった3店舗では、客は、店が貸出した家庭用ゲームソフトを、店内に設置された家庭用ゲームハードを使用し、ディスプレイに映し出してプレイすることができる。また、このような個人プレイの場を提供するほか、特定のゲームの交流会や対戦イベント、客が主催するイベント(いわゆる「格ゲーイベント」や「オフ会」)のための場所と設備を提供するサービスも行っている。料金システムは、いずれの店舗も基本的にはドリンク飲み放題のタイムチャージ制である(以上、各店舗の公式ウェブサイトより)。

DOCUMENT
※大阪はミナミに所在する「ゲームバー1UP」の店内(公式ウェブサイトより)

(2) ACCSによる「指摘」

これらの店舗では、家庭用ゲーム機を据え置き、著作権者に無断での家庭用ゲームソフトの無料貸出しとプレイ場所の提供という環境を整えた上で、ドリンク代のチャージによって収益を上げていた。冒頭の閉店挨拶文にあるACCSからの「指摘」の詳細は明らかではないものの、この点が問題視され、著作権者の団体による指摘にいたったものと考えられる。その結果、「クロノス」は閉店を決断した。この決断に至る経緯は必ずしも明らかではないが、以下、法律の観点から問題点をあぶりだしてみよう。

なお、上記の店舗ではボードゲーム等のテレビゲーム以外のゲームも設置していたようだが、以下はいわゆるテレビゲーム(動画的要素を含むもの)について検討する(以下、テレビゲームを単に「ゲーム」と称する)。

2.ゲームメーカーによるクローズ戦略
   ~ゲームバーに対する著作権侵害警告

(1)ゲームの法律上の地位:映画の著作物

ゲームは、著作権法10条に列挙される著作物には含まれていないが、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(2条1項1号)と認められる限りで著作権法上の著作物である。そして、ゲームソフトの影像については映画の著作物に該当すると判断されており(「中古ゲームソフト事件」/最判平成14年4月25日)、近年発売されているゲームのほとんどは映画の著作物と考えられる。また、ゲームは映し出される画面がプレイヤーによって異なり得る点では映画と相違するもの、映画に関する著作権法上の規定の適用があると考えられている(「パックマン事件」/東京地判平成6年1月31日)。
そして、映画の著作物の著作権者は、他の著作物にも認められている複製権(21条)や公衆送信権(23条)等のほか、映画の著作物に特有の権利として、上映権(22条の2)及び頒布権(26条)を有する。また、映画の著作物には、このほか、映画の著作物に原作がある場合にはその原作者や、複製された楽曲の作曲家・作詞家といった著作権者等が有する権利も含まれている。

(2)ゲームバーに含まれる問題点

ゲームバーは著作権法上、何が問題だったのか。

  (a)ゲームの貸出し

  まず、店がゲームを貸出している点について。店が適法に購入したゲームを客に貸出す行為は、著作権法上問題とならないだろうか。映画の著作物の著作権者は、上述のとおり頒布権を有している。頒布権とは、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物を複製物により頒布(公衆に譲渡又は貸与)する権利をいう。店の貸出し行為がここでいう貸与にあたれば、頒布権侵害となる可能性がある。
貸与権が及ぶ典型的な場面は客が貸出された物を店外で利用する場合であるが、ここでは貸出されたゲームの利用が店内に限られている点が問題である。このような店内に限った利用態様については、占有が店側にあり、貸与権の範囲外であろうと考えられる。この点、利用態様が店内か店外かの一事をもって貸与権の射程範囲の内外を規律するのは合理的ではないとしつつ、どのような態様の店内貸出しについて権利が及ぶかは慎重な精査が求められるとする見解もある(※)。この見解は、飲食店や美容院等で客が書籍や雑誌を閲覧できることがあるが、これらは顧客の待ち時間用に供されている点で、著作権法上の排他的権利を認める合理性がないとするようである。私見では、線引きとしては、行為自体から貸与にあたるかどうかを判断すべきように思われる。その点では、店内に限った利用を許す形での貸出しには、上記の理由で、貸与権が及ばないと考える(なお、ゲームバー閉店報道に関する記事の中には、店の貸出しが「頒布」にあたるとした上で消尽を認め侵害とならないとする見解もみられた。この見解は店の貸出しが著作権法上の「貸与」にあたるという前提にたつものと考えられる。もっとも、消尽については詳しく述べないが、裁判所は頒布権のうち譲渡に関する権利のみ消尽を認めており、頒布権のうち貸与に関する権利については消尽しないとするのが一般的な見解のように思われる。)

※ 作花文雄先生著「詳解 著作権法」第5版には、上記の趣旨の記載がある。


  (b)店内でのプレイ

  次に、客が店でプレイすることについて。つまり、客がゲームの映像を店が設置するディスプレイに表示する行為は、著作権法上問題となるか。
映画の著作物の著作権者は、上述のとおり上映権を有している。上映権とは、著作物(公衆送信されるものを除く。)を上映(公に映写幕等に映写(音の再生を含む))する権利をいう。上映権の対象となる映写には、映写幕への映写のほか、液晶画面に表示することも含まれると考えられている。そのため、客のプレイ、すなわち客が店のディスプレイにプレイ画面を表示させる行為は、上映にあたる。
また、上映権は、著作物を上映する行為のうち、「公に」、すなわち「公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として」上映する場合を対象としている。そのため、プレイヤー本人やその近くにいる者のみしかみられないようなディスプレイでの個人プレイは、上映権の対象に含まれないとも考え得る。この点、公衆とは、不特定又は多数をいうとされており、必ずしも観客が多数いるという状況である必要はなく、店からみて顧客が不特定又は多数であれば公衆にあたると考えられており、ゲームバーの客は少なくとも不特定ではあるから、上映権の対象に含まれるであろう。
ゲームバーでは個人プレイに限らず店内で格ゲー大会やイベント等を実施するサービスも提供しているが、大画面でプレイ画面を映写しているのであるから、個人プレイに及ぶのなら尚更、これらについても上映権が及ぶといえよう。


  (c)侵害主体は誰か

  もっとも、物理的にプレイ(映写)しているのは店ではなく客であることから、「上映しているのは店側ではないのでは?」と疑問をもった読者もいるかもしれない。しかし、裁判所はこれまで、侵害主体を物理的行為者に限らず、規範的に判断してきた。物理的行為者を管理(支配)し、かつ物理的行為により営業上の利益を得ている者にも、規範的行為主体として責任を認めるというものである。この法理は、カラオケ伴奏による客の歌唱(演奏)につきカラオケ装置を設置した店に演奏権侵害を認めた、いわゆる「クラブ・キャッツアイ事件」(最判昭和63年3月15日)に端を発し、カラオケ法理と呼ばれている。その後、裁判所は、考慮要素に若干の修正を加えつつも、カラオケとは関係のない種々の事案においてこの法理を適用してきた(「ファイルローグ事件」/東京高判平成17年3月31日、「TVブレイク事件」/知財高判平成22年9月8日等)。
以上の考え方に従えば、ゲームバーで個人プレイを楽しむ客も大会に参加する客(たとえ当該イベントが客主催であっても)のいずれも、店の管理・支配下にあり(いずれについても施設や空間は店が提供しているからである)、店はこれらによって利益を得ている点で、店に侵害が認められそうである。かくして、「クロノス」はACCSの警告を受け3店舗を閉店するに至ったものと考えられる。
もっとも、「クラブ・キャッツアイ事件」の射程範囲が限定的であったことや、当時はこの法理を必要とする法律上の特殊事情があったこと等から、カラオケ法理には近時異論も少なくない。


  (d)似て非なるサービス「漫画喫茶」

  ところで、ゲームバーと似たサービスに、漫画喫茶がある。漫画喫茶は施設内で漫画を貸出し、タイムチャージ制で料金を課している形態が多い。ゲームバーとは貸出す対象が漫画かゲームかの違いがあるだけで、サービスとしてはほぼ同じとも思える。
しかし、法律上は異なる規律がなされている。映画の著作物以外の著作物には貸与権(複製物を公衆に貸与する権利。26条の3)が認められているが(上述のとおり、ゲームの場合は頒布権でカバーされている)、ゲームと同様、店内で読ませる場合は、漫画本の占有は顧客ではなく喫茶店側にあるため「貸与」とはいえないと考えられている。しかし、ゲームと異なり、(ゲームにおける上映権のように)漫画を人前で読むことについて規律する規定がないために、客が店内で店が貸出した漫画を読む行為についても、侵害行為を観念し難い。そのため、漫画喫茶は著作権侵害とはならないとの結論になりそうだ。このようにゲームバーか漫画喫茶かで、著作物を店内で提供するサービスが違法か合法か運命を分かつことになる。なんとなく腑に落ちない気がしなくもない。

3.ゲームメーカーのオープン(?)戦略
   ~プレイ動画のアップロードに対する各社の対応

以上のように、ゲームバーはゲームの著作物を侵害すると考えられ、ゲームメーカーにとってゲームバーは障害となる存在だと判断されたようだ。もちろん、ACCSの会員はゲームメーカーに限られないこともあり、上記警告が必ずしもゲームメーカーの総意によるものとはいえないかもしれないが、ACCSは2011年に既に全国のゲームバーに対し、著作権を遵守するよう文書で呼び掛けていたらしい

一方で、広くゲームのプレイ画面を人々に見せる行為はどうか。YouTube等にプレイ動画、実況動画がアップされているのを、プレイヤーなら(あるいはプレイヤーでなくとも)、一度は見たことがあるのではないだろうか。

これらはゲームのプレイ画面を複製した上でネットにアップしている点で、複製権(21条)及び公衆送信権(公衆に直接受信されることを目的として情報を送信する(アップロードを含む)権利。23条)を侵害し得る。ゲームバーとは侵害する権利こそ異なるが、ゲーム影像を公衆がみられるようにする点では共通している。しかし、この「違法行為」に対するゲームメーカーの対応は様々である。以下、その対応を筆者なりに類型化してみた。

   a)禁止型

  たとえば、A社による某最新作P(シリーズ5作目)は、当該ゲームの公式ウェブサイト上で明示的に「ネタバレ」動画のアップが固く禁じられている。そのためか、この作品は、発売直後しばらく、プレイ動画をネット上で閲覧できなかったらしい。もし(法律にも)メーカーの呼びかけにも反してプレイ動画がアップされた場合には、メーカーの要請に応じて削除されていたものと推測する。例として挙げた上記作品もそうであるが、これはシナリオが重視される作品(例えばロールプレイング(RPG)やシミュレーション型のゲーム)であり、プレイ動画がアップされることによるネタバレで潜在的プレイヤーの獲得失敗の懸念が大きい(別の作品ではあるが、実際に、購入前にプレイ動画を閲覧していたらYouTube上でクリアしてしまい、購入に至らなかったという経験談を聞いたことがある)。そのため、シナリオ重視型の作品が、プレイ動画に対して厳格な態度となるこのタイプに該当しやすいものと思われる。


   b)共存型

  対象ソフトと対象地域を限定した上で、YouTubeの広告収益をシェアするというユニークな方法を提案するメーカーもある。同メーカーの特徴としては、アクション、カーレース、ゴルフその他のスポーツ系等、世代や国籍を問わず広いマーケットが期待できる協働プレイが可能な作品が多い。この種のゲームでは、プレイ動画によるネタバレがそれほどはマイナス効果を持たない。そのためか、同メーカーはこれまで動画のアップを禁止するのではなく、YouTube上で自社の著作物が含まれる動画から得られる広告収益を自社が受け取る仕組みをとっていたようだが、後にメーカーが提供するプログラムに登録したアップローダーとの間では、上記の折衷策をとることとしたらしい。アップローダーが広告収益を一部得られるようになり、動画アップ件数は増えたのではないかと想像している。メーカーがアップを明示的に認めつつ、収益をシェアする意味で、プレイヤーとの共存の一形態といえよう。


   c)黙認型(?)

  動画のアップを許諾しているわけではないにもかかわらず、YouTube上には大量の動画がアップされているものもある。明示的にアップが禁止されているものについてこの類型に含めるのはやや正確さに欠けるかもしれない(削除要請が追い付かないなどの事情が背景にはあるかもしれないからである)が、削除されないままの状態を重要視し、ここでは「黙認型」と呼ぶ。このタイプは(シナリオ中心にゲームが展開されるRPGとは性質を異にする)アクション型ゲームに多いのではないかと考える。なぜなら、アクション型ゲームは自らコントローラーを駆使して実戦することに意味があり、アップ動画をみて購入を決断する者や、自分のプレイの参考とするために閲覧するプレイヤーこそいるだろうが、閲覧すれば満足という者を想定しがたいからである。筆者も、このタイプのゲームについては、むしろ売上に加担するものとして、あえて黙認する戦略はアリだと思う。


DOCUMENT
※モンスターを狩る某有名アクションゲームで表示される注意書き。
動画の配信が明示的に禁止されているようだ。

   d)許諾型(?)

  たとえば、歴史あるRPG大作の某Dシリーズは、基本的にJASRACとの利用許諾契約を締結しているプラットフォームに限定して、条件付きで動画のアップが明示的に許諾されているものがある(複製や頒布の禁止については明記がある上、条件も付されてはいるが、ネットへのアップが明示的に許されている点に鑑み「許諾型」と呼ぶ)。プラットフォームを限定する趣旨は、先述のとおりゲームに固定された楽曲については作曲家が著作権を有しており、JASRACが管理している楽曲の使用はJASRACに対する使用料が発生することを考慮したものと予想される(なお、利用許諾契約を締結しているプラットフォームは、プラットフォームがJASRACに使用料を支払うため、アップローダーが個別に許諾を得なくともJASRAC管理楽曲を含む動画を適法にアップできる)。このシリーズは基本的には上記の扱いのようであるが、比較的最近発売された作品の中には、シナリオに関わるシーンの配信に対する「ネタバレあり」との記載を求めるほか、各バージョンの「ラスボス」討伐後の動画の配信を禁止するなど、細かい利用条件を付しているものもある。概して、比較的新しい作品に対する規制が強く、古い作品についての規制は弱いようだ。

4.オープンかクローズか

(1)ゲームバーに対するクローズ戦略

ゲームバーの経営形態はゲームの商用利用である。ゲームバーの収益は、店に帰属し権利者には直接にも間接にも還元されない。ゲームバーの存在がゲームの売上げに貢献するという関係も期待しづらい。ゲームバーに通うプレイヤーがゲームバーでプレイできるソフトを家庭でもプレイしようとは思わないだろうから、むしろ、家庭用ゲーム機を設置しているゲームバーの存在については、家庭用ゲーム機又はゲームソフトの売上げへのマイナス効果が懸念される(もっとも、格ゲーイベントなどへの参加は家庭で練習する目的で購入するインセンティブにはなると考えられる点は否めない。しかし、プレイ動画のシェアほどのマーケットの取得にはつながらないだろう)。

(2)プレイ画面に対するオープン戦略の可能性

一方のプレイ動画については、対応方法はメーカーの戦略にも深く関係するが、総じて、ネタバレからのマーケットの縮小が懸念されるゲーム(最近発売されたRPGについては規制が強い)はNG、シェアされることでプロモーション効果が期待できるもの(アクション型)はOK(黙認を含む)、という傾向があるように思われる。
同じRPGのシリーズでも、a) 禁止型と d) 許諾型に分かれている点については、ネタバレリスク及びその影響の程度の差が理由だろうと思う。ネタバレによるリスクは新作ではより顕著に表れる。他方で、旧作については、そもそも潜在的購入者を大きくは見込めない一方で、シリーズものであれば、新作のシナリオやキャラクター、音楽の中に旧作の要素を散りばめていることも多く、旧作の動画を閲覧し興味を持った者が同じシリーズの新作を購入する可能性は充分見込めるように思う。そのため、少なくとも、売上げを下げる効果よりは上げる効果の方を期待できるのではないか。潜在的購入者の獲得失敗リスクについては上掲のDシリーズのようにその旨明示しておけば、ネタバレによるマーケットの縮小もある程度は回避できるというわけだ。もちろんメーカーによって扱いは異なり、旧作についても a) 禁止型をとる、新作についても d) 許諾型をとる等の戦略もあり得るだろうが、これは一括りにRPGといっても個々のゲームによって性格が異なる点が考慮されよう。
また、c) 黙認型に多くみられるアクション型ゲームについては、オープンにすることで知名度を高められるし、マーケット拡大を期待できる。映画「アナと雪の女王」は、ネット上で動画がシェアされることで莫大な宣伝効果を生んだ好例だが、アクション型ゲームについても同様に、違法動画を規制するより(積極的に許諾を付与するまでは行かなくとも)アップを認める方が、ひいてはメーカーの売上げに繋がるのではなかろうか。アップローダーにインフルエンサー的役割を期待できるように思われる。

筆者の考えるオープン&クローズ戦略

カテゴリー 特徴 戦略
ゲームバー 商用利用 クローズ











a)禁止型 新作RPG
シナリオ重視
ネタバレによる潜在的プレイヤーの獲得に失敗するリスク クローズ
b)共存型 協同プレイ ネタバレリスクが低い オープン?
c)黙認型 アクション ネタバレリスクが低い
アップによるマーケットの拡大が期待できる
オープン?
d)許諾型 旧作PRG ネタバレリスクが低い(もしくはネタバレであることを表示させることで対応)
アップによるマーケットの拡大が期待できる
オープン

※あくまで筆者の分析であり、一例に過ぎない

かくして、メーカーは著作権法上違法な行為を一律に取り締まっているのではなく、ケースバイケースで対応を使い分けているように思われる。これが戦略だとすれば、時代や技術の発展とのバランスを配慮したものであろう。特に最近の一般のユーザーによる「シェア」による効果は、自社プロモーションと比べ、大量(グローバル)かつスピーディ、おまけに低コストと三拍子そろっている。メーカーとしては、これをうまく利用し、コンテンツを広めることが可能だ。そして、メーカーがこれらの戦略をうまくコントロールすることは、短期的にはメーカーの利益となるし、今後のゲーム業界(特に日本のコンテンツ)の全体的な発展にもつながるのではなかろうか。その意味でも、メーカーにとっても戦略を十分に練る価値はあるだろうと筆者は考える。

5.さいごに

筆者はこの報道を目にした瞬間、件のゲームバー運営会社名「クロノス」が、現在プレイ途中の某ゲームソフトの主人公に対し筆者が深慮の上行った命名と同一であることに気づき、衝撃を禁じ得なかった(勘のいい方はソフトを特定できるのではないかと推察する)。その縁もあり、ここではゲームに限って考察したが、もちろんオープン&クローズ戦略はいたる業界でとられており、また、とられるべきものと考えている。
なお、今回執筆にあたり種々のネタ(規約画面などを含む)と意見を提供してくれた羽賀由利子金沢大学准教授(専門;国際私法・国際取引法)にはここで深謝申し上げる。

以上

弁護士 橋本阿友子のコラム一覧

■ 関連記事

※本サイト上の文章は、すべて一般的な情報提供のために掲載するものであり、
法的若しくは専門的なアドバイスを目的とするものではありません。
※文章内容には適宜訂正や追加がおこなわれることがあります。
ページ上へ